認知症ケアの第一歩 ~最初に知っておくべき定義と4つのタイプ~

認知症について
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※この記事は、認知症グループホームで10年以上勤務し、現在は管理者として働く筆者が執筆しています。

ご本人・ご家族・介護職員、それぞれの立場をふまえたケアの視点をお届けします。

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📝 この記事の要約

【この記事で伝えたいこと】

認知症ケアの出発点は「そもそも認知症とは何か」を正しく理解することにあります。
認知症は“病名”ではなく“状態”であり、その捉え方によってケアの質や関わり方は大きく変わります。
この記事では、認知症の基本的な定義と診断までの流れ、代表的な4つの認知症について整理しながら、認知症ケアの原点となる考え方を解説します。


【要点】

  1. 認知症とは「病名ではなく状態」であることが分かる
    認知症の定義を正しく理解することで、ケアの目的が「治すこと」ではなく「状態に応じた支援」であることが整理できます。
  2. 認知症の進行と診断までの流れが理解できる
    認知症は診断がつく前から始まっていることや、日常生活への影響との関係、早期に気づく重要性が分かります。
  3. 代表的な4つの認知症の特徴と違いが分かる
    アルツハイマー型・脳血管性・レビー小体型・前頭側頭型それぞれの特徴を知ることで、関わり方の土台となる理解が深まります。

【この記事で分かること】

・認知症の基本的な定義と「病名ではなく状態」である理由
・認知症と診断されるまでの流れと、早期に気づく重要性
・アルツハイマー型など代表的な4つの認知症の特徴と違い

家族介護・介護職のどちらでも、認知症への理解が深まり、日々の関わり方に自信が持てる内容です。

※詳しい説明・根拠・事例は、このあと本文でやさしく解説します。

認知症の定義

実は、認知症ケアを提供する人が知らなければいけないこと

親の認知症介護に奮闘するご家族、
認知症専門棟やグループホームなどで働く職員など、
日々、たくさんの方が、認知症の方の笑顔のために支援にあたっています。

しかし、認知症ケアに関わるすべての人が、必ず立ち返るべき“原点”があります。

それは――
「そもそも認知症とは何か」を正しく理解することです。

もしこの前提が曖昧なままケアをしてしまうと、
・対応がズレる
・負担が増える
・本人の安心感が損なわれる

そんなことが起こり得ます。

この記事では

  • 認知症とは何なのか
  • 代表的な4つの認知症

について、お伝えいたします。

認知症の定義

認知症の一般的な定義とは

認知症とは、いったん正常に発達した脳の機能がさまざまな原因で低下し、記憶、判断、言葉、行動などの能力に障害が起こり、日常生活に支障が出ている状態をいいます。

つまり認知症とは『病名』ではなく『症候群(状態の総称)』である、ということです。

ですので認知症ケアとは
『病気を治す』ことを目的として行われるのではなく
『状態の改善』を目指して提供されなければいけません。

これは『中核症状』と『行動・心理症状』の違いを理解して認知症の方へケアを提供していくうえでも非常に重要な考え方なのですが、それについては別の記事でお伝えいたします。

認知症と診断されるまでの流れ

では日常生活に支障が出ている状態とは、誰がどのように判断するのでしょうか。

判断する流れとしては

① 認知症状の出現

② 日常生活への支障

③ 検査による確認

④ 医師の診断

となります。

それぞれについて、解説します。

①記憶や思考などの認知症状に障害があること

例えば

  • 物忘れ(体験そのものを忘れる、新しいことを覚えられないなど)
  • 時間や場所が分からなくなる
  • 会話がうまく続けられない
  • 判断や理解に時間がかかる

などの症状があらわれることです。

実は、近しい人がこのような状態に気づけるかどうかは、非常に重要です。

大抵の場合、このような状態となった親に対して家族は違和感を覚えるものの『まさかうちの親が』とその可能性を無理やり排除してしまい、何もしない間に認知症が進行してしまう、なんてことがとても多いのです。

②日常生活に支障が出ていること

  • 買い物や食事の支度、金銭管理や火の取り扱いなどに困難がある
  • 一人で外出すると迷うようになった

などです。重要なのは『加齢による物忘れ』とは違う、ということです。

ここまでくると、さすがに家族も目の前の『現実』を受け入れざるを得ません。

地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請をし、ケアマネージャーが付いて介護サービスを受け始めるのは、多くの場合はこの段階でしょう。

③脳の病気や変化が原因であると確認される

  • MRIやCTなどで、脳の器質的変化が認められる
  • 認知機能検査(長谷川式スケール、MMSEなど)
  • 認知症のような症状が出る他の病気が除外されている(うつ病、甲状腺疾患、せん妄など)

④医師による診断がある

要介護状態となり専門医に受診すると③のような検査を行うこととなります。

そして①~③の情報をもとに、専門医(主に脳外科医、精神科医、神経内科医、老年内科医など)が認知症の診断をします。

認知症の診断が出るまでには、このようなプロセスを踏む必要があります。

ここで大切なのは、次の点です。

認知症は
「診断がついた時」ではなく、
①の段階からすでに始まっている

ということです。

つまり、本人の違和感に気付いた支援者が、いかに早く動けるか、ということがとても大事なのです。

代表的な4つの認知症

次に、代表的な4つの認知症について説明いたします。

認知症と聞いて多くの方が思い浮かべるのは『アルツハイマー型認知症』であるかと思います。

認知症にはさまざまな種類がありますが、その中でも代表的な4つが以下です。

  • アルツハイマー型認知症
  • 脳血管性認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭型認知症

この4つで、全体の約95%を占めるとされています。

それぞれのタイプについての詳しい説明や、支援するうえで何に気を付ければいいのか、ということについては別の記事でお伝えいたします。

アルツハイマー型認知症

■特徴
脳全体がゆっくりと萎縮していくことで発症します。最も多い認知症で、徐々に進行していくのが特徴です。

■主な症状
・新しいことが覚えられない(記憶障害)
・時間や場所が分からなくなる(見当識障害)
・言葉が出にくくなる
・感情の変化(怒りやすい、不安が強いなど)

■割合
全体の約60%
女性に多い傾向があります。

■ケアのポイント
👉 「できないこと」ではなく「できること」に目を向ける
👉 不安を軽減する関わり(否定しない・安心できる声かけ)
👉 環境を整え、混乱を減らす(同じ場所・同じ流れ)

脳血管性認知症

■特徴
脳梗塞や脳出血などによって、脳の一部の機能が障害されることで発症します。
症状にムラがある(できる時とできない時の差)が大きな特徴です。

■主な症状
・まだらな認知機能の低下
・手足の麻痺
・感情の起伏が激しくなる(感情失禁)
・意欲の低下

■割合
約15〜20%
男性に多い傾向があります。

■ケアのポイント
👉 「できる部分」を活かす支援(過剰介助を避ける)
👉 体の麻痺に配慮した安全な介助
👉 感情の波を理解し、受け止める関わり

レビー小体型認知症

■特徴
脳に「レビー小体」という異常なたんぱく質が蓄積することで発症します。
症状の“波”が大きいことが特徴です。

■主な症状
・幻視(人や虫などがリアルに見える)
・手足のこわばり(パーキンソン症状)
・認知機能の変動(良い時と悪い時の差)
・睡眠障害

■割合
約10〜15%

■ケアのポイント
👉 幻視を否定しない(「見えている世界」を尊重)
👉 体の動きに配慮し、転倒予防を徹底
👉 薬の影響を理解し、変化に敏感になる

前頭側頭型認知症

■特徴
前頭葉・側頭葉が萎縮することで発症します。
記憶よりも「行動や性格の変化」が目立つ認知症です。

■主な症状
・社会的に不適切な行動(万引き・暴言など)
・同じ行動を繰り返す(常同行動)
・共感性の低下
・言葉の理解や表現の障害

■割合
約5%
比較的若い世代で発症しやすいのが特徴です。

■ケアのポイント
👉 行動を「問題」と捉えるのではなく「症状」と理解する
👉 環境調整で行動をコントロール(刺激を減らす)
👉 家族・職員の負担が大きいため、支援体制を整える


補足:複合型認知症について

現在は、これらの認知症が一つだけではなく、
複数組み合わさっているケース(混合型)も多く見られます。

そのため「この型だからこう」と決めつけるのではなく、
目の前のその人の状態を見てケアを考えることが重要です。

認知症ケアの原点とは

今回は主に『認知症とは何か』という基本についてお伝えしました。

認知症ケアにおいて、病名や診断の知識が最重要というわけではありません。

しかし――

その基本的な理解があるかどうかで、ケアの質は大きく変わります。

ケアを受ける側の安心感も
ケアを行う側の負担感も

その積み重ねの中で、確かに変わっていきます。

そして何より、

「目の前のその人をどう理解するか」その視点こそが、認知症ケアの原点なのではないでしょうか。

ここにんでは、認知症介護を”楽にする”ためのヒントとなるような考え方、技術をたくさんを発信しています。

詳しくは ➡【はじめての方へ ここにんってどんなブログ?】をご覧ください!

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