MCI(軽度認知障害)とは? ~認知症との違い・回復の可能性・早めの受診が大切な理由をわかりやすく解説~

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※この記事は、認知症グループホームで10年以上勤務し、現在は管理者として働く筆者が執筆しています。

ご本人・ご家族・介護職員、それぞれの立場をふまえたケアの視点をお届けします。

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📝 この記事の要約

【この記事で伝えたいこと】

「MCI(軽度認知障害)」は、認知症ではありません。
だからこそ「もう手遅れ」と考えるのではなく、今の状態を知り、今できることを選ぶことが大切です。
この記事では、MCIと認知症との違いや改善の可能性、早めに受診する意味について分かりやすく解説します。


【要点】

  1. MCI(軽度認知障害)とはどのような状態なのかが分かる
    MCIの定義や特徴、普通の物忘れ・認知症との違いを比較しながら、誤解しやすいポイントを分かりやすく解説します。
  2. MCIは必ず認知症になるわけではないことが分かる
    MCIには改善する人や状態を維持する人もいること、生活習慣や適切な対応によって認知機能の維持につながる可能性があることを紹介します。
  3. 早めに受診する意味と、今できることが分かる
    新しい治療薬の登場によって早期受診の意義が高まっていることや、今日から始められる生活習慣の見直し、家族の関わり方について解説します。

【この記事で分かること】

・MCI(軽度認知障害)と認知症の違い
・MCIが改善・維持することもある理由と今日からできる取り組み
・早めに受診する意味が以前より大きくなった理由

「MCI=認知症への入り口」と決めつけるのではなく、今の状態を正しく理解し、これからの生活や治療について前向きに考えるための知識が身に付きます。

※詳しい説明・根拠・事例は、このあと本文でやさしく解説します。

はじめに

「最近、物忘れが増えた気がする」

「もしかしたら、認知症なのかもしれない…」

そんな不安から医療機関を受診し、
「MCI(軽度認知障害)」という言葉を初めて聞く方は少なくありません。

MCIは認知症ではありません。

しかし「何も問題がない状態」とも言い切れません。

認知症になる前の段階として説明されることもありますが、
MCIと診断された方が必ず認知症になるわけではありません。

近年では、生活習慣の改善だけでなく、
新しい治療薬の登場によって、早く受診する意味も以前より大きくなっています。

この記事では、

  • MCIとはどのような状態なのか
  • 普通の物忘れや認知症との違い
  • 回復する可能性はあるのか
  • なぜ早めの受診が大切なのか

について、できるだけ分かりやすく解説します。

MCI(軽度認知障害)とは?

MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)とは、
認知症ではないものの、年齢相応と考えられる範囲を超えた認知機能の低下がみられる状態
をいいます。

特徴としては、

  • 認知症ではない
  • 年齢相応以上の認知機能の低下がみられる
  • 本人や家族が変化に気付くことが多い
  • 日常生活はほぼ自立している

という点が挙げられます。

つまりMCIは、
「正常」と「認知症」の間にある状態
と考えるとイメージしやすいでしょう。

普通の物忘れとの違い

「年齢のせいなのか、それともMCIなのか」

これは、多くの方が気になるポイントです。

一般的には、普通の物忘れではヒントがあれば思い出せることが多い一方、
MCIでは思い出せない場面が増えてきます。

また、日常生活への影響も少しずつ現れ始めることがあります。

実際には普通の物忘れとMCIの境界は非常に曖昧です。

普通の物忘れMCI
ヒントで思い出せる場合が多い思い出せないことが増える
生活への影響は少ない少しずつ支障が出始める
加齢でも起こる認知機能低下が疑われる

ただし、これらはあくまで一般的な傾向です。

実際には個人差が大きく、

症状だけで「これはMCIです」「これは加齢です」
と白黒はっきり分けられるものではありません。

だからこそ、不安がある場合は自己判断せず、医療機関で相談することが大切です。

MCIと認知症との違い

MCIと認知症を分ける最も大きなポイントは、日常生活への影響です。

認知症では、

  • お金の管理が難しくなる
  • 約束を忘れてしまう
  • 薬の管理にミスが増える
  • 家事の手順が分からなくなることがある

など、生活そのものに影響が現れます。

一方、MCIでは、

  • 少し時間はかかる
  • メモやカレンダーを活用すれば対応できる
  • 日常生活はほぼ自立して送れる

という方が多くみられます。

つまり、MCIでは認知機能の低下はみられるものの、
多くの場合、工夫をしながら日常生活を送ることができます。

MCIは改善することもある

MCIと診断されると、
「このまま認知症になってしまうのでは」と不安になる方も少なくありません。

しかし、MCIと診断された方が必ず認知症へ進行するわけではありません。

実際には、

  • 認知症へ進行する人
  • MCIの状態を長く維持する人
  • 認知機能が改善する人

など、その後の経過は人それぞれです。

MCIの背景には、加齢だけではなく、生活習慣病や睡眠不足、難聴など、
改善や治療が可能な要因が関係していることもあります。

そのため、こうした要因を見直すことで、
認知機能の維持や改善につながる可能性があると考えられています。

「MCIと診断された=もう手遅れ」ではありません。

だからこそ、今の状態を正しく知り、できることから取り組んでいくことが大切です。

MCIと診断されたら今日から始めたい5つのこと

MCIと診断されても、今日から取り組めることはたくさんあります。

ここでは、日常生活の中で意識したい5つのポイントをご紹介します。

① 適度な運動を続ける

ウォーキングや体操など、無理なく続けられる運動は、認知機能の維持だけでなく、筋力や転倒予防にもつながります。

② 人との会話や趣味を続ける

家に閉じこもるよりも、人との交流や好きな活動を続けることは、脳への良い刺激になります。

③ 生活習慣病をしっかり治療する

高血圧や糖尿病などは認知症とも関係があります。

薬をきちんと飲み、定期的に受診しましょう。

④ 聞こえにくさや睡眠を見直す

難聴や睡眠不足は認知機能にも影響します。

必要に応じて耳鼻科や睡眠についても相談しましょう。

⑤ 定期的に経過をみてもらう

MCIは変化することがあります。

改善することもあれば、進行することもあります。

だからこそ、一度診断を受けて終わりではなく、定期的に医師と状態を確認することが大切です。

MCIとSCDの違い

MCIと似た言葉に、SCD(主観的認知機能低下)があります。

SCDでは、

  • 本人だけが物忘れなどの変化を感じている
  • 検査では異常がみられない

という状態です。

一方MCIでは、

  • 認知機能検査で軽度の低下が確認される
  • 日常生活はほぼ保たれている

という違いがあります。

さらに認知症では、日常生活への支障が明らかになります。

※詳しくは「SCD(主観的認知機能低下)とは?」の記事をご覧ください。

どのような時に受診を考えた方がいい?

次のような変化が続く場合は、一度医療機関へ相談することをおすすめします。

  • 同じことを何度も聞くようになった
  • 家族が以前との違いを感じる
  • 約束を忘れることが増えた
  • お金の管理に不安が出てきた
  • 仕事や家事でミスが増えた

ここで大切なのは、

「早く受診すること=認知症と決まること」ではない

ということです。

受診する目的は「認知症かどうかを決めること」だけではありません。

今の状態を正しく知り、必要な対応につなげることにも大きな意味があります。

早めの受診で、選べることが増えてきた

以前は、MCIと診断されても、生活習慣の見直しや経過観察が中心でした。

しかし現在では、アルツハイマー病によるMCIの一部では、病気の進行を遅らせることを目的とした治療薬という選択肢が生まれています。

代表的なものが、

  • レカネマブ(レケンビ)
  • ドナネマブ(ケサンラ)

です。

もちろん、

  • すべてのMCIが対象ではない
  • アルツハイマー病であることを確認する検査が必要
  • 副作用や治療を受けられる医療機関に条件がある

など、注意すべき点もあります。

それでも、
「早く受診する意味」は以前より大きくなった
と言えるでしょう。

認知症かどうかを決めるためだけではなく、
「今できる選択肢があるかもしれない」と知ることにも受診する価値があります。

だからこそ「様子を見よう」と先延ばしにするのではなく、
早めに相談することの価値は以前より大きくなっています。

「早めの相談が大切」だと感じる理由

私はグループホームで働いていますが、
「もう少し早く相談していれば、違った選択肢があったかもしれない」
と感じる場面に出会うことがあります。

もちろん、それは誰かを責める話ではありません。

当時はその選択肢がなかったり、
「年齢のせいだろう」と考えることが一般的だったりしたからです。

だからこそ今は、
「少し気になる」と感じた段階で相談できる社会になってほしいと感じています。

家族はどのように接すればいい?

家族が「認知症ではないか」と心配になる気持ちは自然なことです。

しかし、その不安をそのまま本人へ向けてしまうと、本人も大きな不安を感じてしまいます。

例えば、

✕「認知症じゃない?」

ではなく、

〇「最近、少し困ることが増えた?」

〇「一緒に相談に行ってみようか」

〇「原因が分かれば安心だね」

このように、不安を否定せず、決めつけず、一緒に考える姿勢が大切です。

まとめ

MCIは認知症ではありません。

だからこそ、これからの過ごし方によって未来が変わる可能性があります。

以前は「早く分かっても仕方がない」と考えられることもありました。

しかし現在では、

生活習慣の見直しや新しい治療薬など、

早く気付くことで選べる選択肢も少しずつ増えてきています。

「少し気になる」

その小さな気付きは、決して無駄ではありません。

そして、その段階で相談することは、認知症と決めつけることではありません。

むしろ、今の状態を知り、今できることを選ぶための行動です。

一人で不安を抱え続けるのではなく、

信頼できる誰かや、医療機関へ相談することも、

これからの生活を考えるきっかけになる、大きな第一歩になるかもしれません。

※MCIは病名ではなく状態を表す言葉です。
また、MCIにはアルツハイマー病以外の原因でも起こるものがあります。
気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関へ相談しましょう

ここにんでは、認知症介護を”楽にする”ためのヒントとなるような考え方、技術をたくさん発信しています。

詳しくは ➡【はじめての方へ ここにんってどんなブログ?】をご覧ください!

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