認知症高齢者とフレイル ~「年だから仕方ない」で終わらせない心と身体の衰え~

健康管理・事故予防
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※この記事は、認知症グループホームで10年以上勤務し、現在は管理者として働く筆者が執筆しています。

ご本人・ご家族・介護職員、それぞれの立場をふまえたケアの視点をお届けします。

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📝 この記事の要約

【この記事で伝えたいこと】

フレイルは単なる「筋力低下」ではなく、身体・心・認知機能・人とのつながりなど、“生活する力全体”が弱くなっていく状態です。
この記事では、認知症のある高齢者に見られる小さな変化への気づき方と「今ある力を使い続けられる生活」を支えるフレイル予防について解説します。


【要点】

  1. フレイルは「筋力低下」だけではないことが分かる
    身体だけでなく、心理・認知、栄養、人とのつながりなど「生活する力全体」からフレイルを捉えます。
  2. 認知症のある高齢者に見られる“小さな変化”に気づく視点を解説
    歩行や立ち上がり、食事、活動量、意欲、社会参加など、日常生活の変化からフレイルに気づくポイントを紹介します。
  3. 「生活そのもの」をフレイル予防につなげる考え方が分かる
    運動だけに頼るのではなく「まだできること」を生活の中で使い続けることで、身体・心・社会とのつながりを守る介護の視点を解説します。

【この記事で分かること】

・フレイルとは何か、サルコペニア・ロコモとの違い
・認知症のある高齢者に見られる「小さな変化」への気づき方
・運動だけに頼らず「生活そのもの」をフレイル予防につなげる視点

家族介護・介護職のどちらでも「今ある力を使い続けられる生活」を支えるために役立つ内容です。

※詳しい説明・根拠・事例は、このあと本文でやさしく解説します。

はじめに|「最近、弱ってきた」は何を見て判断していますか?

「以前より歩くのが遅くなった」

「外に出たがらなくなった」

「一日中座っていることが増えた」

「何をするにも面倒くさがるようになった」

高齢者にこうした変化が見られると、

「年だから仕方ない」

「認知症が進んだからだろう」

と考えてしまうことがあります。

また反対に、

「食事はしっかり食べている」

「むしろ以前より太ってきた」

という姿を見ると「身体はまだ元気なのだろう」と感じるかもしれません。

しかし、必ずしもそうとは限りません。

体重は増えているのに、以前より歩けなくなっている。

食事は摂れているのに、一日中ほとんど身体を動かしていない。

身体は大きくなったのに、立ち上がることが難しくなっている。

そんな変化の背景にも、フレイルが隠れていることがあります。

フレイルとは、単に「痩せること」でも「筋肉が落ちること」でもありません。

身体、心、認知機能、人とのつながりなど、さまざまな力が少しずつ弱くなり、ちょっとした出来事から生活全体を崩しやすくなっている状態です。

認知症のある高齢者の生活を考えるうえでも、ぜひ知っておきたい考え方です。

フレイル・ロコモ・サルコペニアは何が違う?

フレイルは、身体機能の低下だけでなく、栄養状態や心理・認知面、人とのつながりなど、高齢者の「生活する力」全体に関わる重要な問題です。

一方で、高齢者の身体機能の低下について調べていると「フレイル」「ロコモ」「サルコペニア」という似た言葉を目にすることがあります。

この3つは重なり合う部分が多いため「何が違うのだろう?」と分かりにくく感じるかもしれません。

そこでまず、この記事で扱う「フレイル」がどこに注目した概念なのか、簡単に整理しておきます。

用語簡単にいうと記事の主役読者に持ち帰ってほしいこと
フレイル心身の予備能力が低下し、要介護へ移行しやすくなった状態生活する力全体身体だけでなく、栄養・心理・認知・社会参加まで見る
ロコモ運動器の障害によって移動機能が低下した状態立つ・歩く・移動する力「まだ歩ける」だけでなく、移動能力の変化を見る
サルコペニア筋肉量・筋力・身体機能が低下した状態筋肉「筋肉の衰えは年齢のせい」で終わらせず、早く気づく

この3つは、それぞれ完全に別々のものではなく、互いに重なり合い、影響し合う部分の多い概念です。

たとえば、サルコペニアによって筋力が低下すれば、立ったり歩いたりすることが難しくなり、ロコモにつながることがあります。

歩くことが難しくなれば外出する機会が減り、人との交流や活動量も減っていくかもしれません。

反対に、外出や人との交流が減って活動量が低下すれば、筋力の低下につながることもあります。

このように、筋肉・移動する力・生活する力は、それぞれ独立しているわけではありません。

その中でも、この記事で特に注目するのは「生活する力全体」です。

「最近、あまり動かなくなった」

「以前より外に出たがらなくなった」

「食生活が変わってきた」

「人と関わる機会が減った」

「何となく元気がなくなってきた」

こうした一つひとつの変化だけを見るのではなく、身体・栄養・心理・認知・社会とのつながりを含めて、その人の生活全体に何が起きているのかを見る。

それが、フレイルを考える大切な視点です。

また、フレイルというと「痩せて弱った高齢者」をイメージするかもしれません。

しかし、認知症のある高齢者では、活動量が低下する一方で食事量が変わらず、体重は増えているのに筋力や身体機能は低下していることもあります。

つまり、

「体重が増えているから元気」
「しっかり食べているからフレイルではない」

とは限りません。

体重の数字だけでは見えてこない「生活する力の変化」に気づくことも重要です。

この記事では、フレイルとはどのような状態なのか、サルコペニアやロコモとは何が違うのか、そして認知症のある高齢者の生活の中で、家族や介護職はどのような変化に気づき、何ができるのかを考えていきます。

フレイルとは?|健康と要介護の間にある状態

フレイル(Frailty)は、加齢などによって心身の予備能力が低下し、さまざまなストレスに対して弱くなった状態を指します。

大まかに表すなら、

健康な状態
↓
フレイル
↓
要介護状態

という連続した変化の途中にあります。

出典:厚生労働省「健康長寿に向けて必要な取り組みとは?」

たとえば元気な人なら、風邪をひいて数日間寝込んでも、回復すれば元の生活へ戻れるでしょう。

ところがフレイルが進んだ高齢者では、

風邪をひく
↓
数日間寝込む
↓
筋力が低下する
↓
歩くことが大変になる
↓
活動量が減る
↓
食欲が落ちる
↓
さらに身体が弱る

というように、一つの体調不良をきっかけに生活機能そのものが大きく低下してしまうことがあります。

つまりフレイルは、

「今できているから大丈夫」ではなく「何かあったときに元へ戻る力が弱くなっている状態」

とも考えることができます。

そして大切なのは、フレイルには適切な働きかけによって改善したり、進行を緩やかにしたりできる可能性があるということです。

だからこそ、早く気づくことに意味があります。

出典:長寿科学振興財団「フレイルと介護予防」

フレイルは「筋力低下」だけではない

フレイルという言葉から、筋力低下や歩行能力の低下、あるいは、足腰が弱った高齢者を想像するかもしれません。

もちろん、それも重要です。

しかしフレイルは、身体だけの問題ではありません。

フレイルとは、大きく分けて、

  • 身体的フレイル
  • 心理・認知的フレイル
  • 社会的フレイル

といった複数の側面から考えることができます。

出典:厚生労働省「健康長寿に向けて必要な取り組みとは?」

そして、この3つは独立しているわけではありません。

一つが弱ることで、別の部分も弱くなっていくことがあります。

① 身体的フレイル|筋力や体力が少しずつ失われる

身体的フレイルでは、

  • 筋力が落ちる
  • 歩く速度が遅くなる
  • 疲れやすくなる
  • 活動量が減る
  • 体重が減少する

といった変化が見られます。

ここで深く関係するのがサルコペニアです。

サルコペニアとは、加齢などによって筋肉量や筋力、身体機能が低下した状態です。

つまり、サルコペニアは身体的フレイルと深く関係する重要な概念です。

さらに、筋肉だけではなく、骨や関節などを含めた運動器の障害によって移動能力が低下していくロコモティブシンドローム(ロコモ)という考え方もあります。

これらは似ていますが、まったく同じものではありません。

冒頭で整理したように、

サルコペニアは「筋肉」、ロコモは「移動する力」、
そしてフレイルはさらに広く「生活する力全体」に目を向けていきます。

→ 関連記事
「サルコペニアとは? 高齢者の筋力低下を考える」

→ 関連記事
「ロコモティブシンドロームとは? 『歩けなくなる』を防ぐために」

② 心理・認知的フレイル|「何もしたくない」が身体まで弱らせる

身体だけでなく、気持ちや認知機能の変化もフレイルに関係します。

認知症のある高齢者では、この部分も非常に重要です。

たとえば、

「何もしたくない」

「外に行きたくない」

「ずっと座っていたい」

という姿が見られることがあります。

認知症では、意欲低下が症状として現れることがあります。

活動する意欲がなくなれば、当然身体を動かす機会も減っていきます。

すると、

意欲が低下する
↓
身体を動かさなくなる
↓
筋力が落ちる
↓
動くことが大変になる
↓
ますます動きたくなくなる

という悪循環が生まれます。

ここで、

「本人が動きたくないと言っているのだから仕方ない」

だけで終わらせてしまうと、身体機能の低下がさらに進んでしまう可能性があります。

もちろん、無理やり運動をさせればいいという話でもありません。

大切なのは、なぜ動かなくなったのかを考えることです。

認知症による意欲低下なのか。

身体が痛いのか。

疲れやすいのか。

何をすればいいのか分からないのか。

楽しみがなくなったのか。

「動かない」という一つの行動にも、さまざまな背景があります。

→ 関連記事
「認知症で何もしたがらないのはなぜ? BPSDとしての意欲低下」

③ 社会的フレイル|人とのつながりが減ることも「弱り」につながる

もう一つ忘れてはいけないのが、人とのつながりです。

高齢になると、

  • 仕事を辞める
  • 友人と会う機会が減る
  • 外出が難しくなる
  • 家族以外と話さなくなる
  • 地域活動へ参加しなくなる

といった変化が起こることがあります。

認知症があれば、さらに外出や人付き合いを避けるようになることもあるでしょう。

こうした社会とのつながりの減少も、フレイルと深く関係しています。

すると、

外へ出ない
↓
人と会わない
↓
刺激が減る
↓
活動する理由が減る
↓
身体を動かさない
↓
食欲や生活リズムにも影響する

というように、社会とのつながりの減少が身体や心にも影響していきます。

だからフレイル予防では、

「運動」と「栄養」だけを見るのではなく、

人とのつながりや、その人が生活の中で持っている役割にも目を向ける必要があります。

身体・心・社会は、それぞれ別々に存在しているわけではありません。

どこか一つが弱ると、ほかの部分まで引っ張られてしまう。

これがフレイルを理解するときの重要なポイントです。

認知症とフレイルは互いに影響し合う

認知症のある高齢者にとっても、フレイルは重要な問題です。

認知症のある高齢者を対象とした研究では、フレイルが機能や認知機能の低下、入院、QOLの低下など、さまざまな好ましくない転帰と関連することが報告されています。

そのため、認知症があるからこそ、日々の生活の中にある「弱り」に早く気づくことが大切です。

たとえば認知症による意欲低下によって、身体を動かさなくなることがあります。

判断力や実行機能が低下すれば、自分から散歩に行ったり、運動を続けたりすることも難しくなります。

食事を準備する、バランスよく食べる、水分を摂るといったことにも支援が必要になるかもしれません。

さらに、

「転んだら危ないから」

という理由で周囲が行動を制限することもあります。

もちろん安全を守ることは重要です。

しかし、

転倒が心配
↓
歩かせない
↓
筋力が落ちる
↓
さらに転びやすくなる
↓
もっと歩かせなくなる

という循環に入ってしまえば、安全のために行った支援が、結果として身体機能の低下を進めることにもなります。

認知症ケアでは、

「危険をなくすこと」と「できることを奪わないこと」のバランス

を考える必要があります。

出典:Bordaら「Frailty and Health Outcomes in People 65 Years or Older Living With Dementia: A Systematic Review of the Literature」

「太っているからフレイルではない」とは限らない

ここは、フレイルを考えるうえでぜひ知っておきたいところです。

フレイルでは「体重減少」が一つの重要なサインになります。

そのため、

「体重が増えているならフレイルではない」

と思ってしまうかもしれません。

しかし、体重だけでは身体の状態は分かりません。

たとえば認知症のある方で、

食事量は変わらない
↓
意欲低下などによって活動量が減る
↓
消費するエネルギーが減る
↓
体脂肪が増える

ということがあります。

また、水分摂取を優先するあまり、甘い飲み物やゼリー飲料などから糖質やエネルギーを多く摂っている場合もあります。

さらに、むくみなどによって体重が増えているケースも考えなくてはいけません。

つまり、

「体重が増えた=栄養状態が良い=身体が元気」

とは限らないのです。

体重は増えているのに筋肉は減っていることもある

さらに注意したいのが、

脂肪は増えている一方で、筋肉は減っている

という状態です。

体重だけを見ると、

50kg → 53kg

となっていれば、「痩せていないから大丈夫」と思うかもしれません。

しかし身体の中で、

筋肉は減少
+
体脂肪は増加

という変化が起こっていれば、体重は増えていても身体機能は低下している可能性があります。

サルコペニアと肥満が併存する状態は、サルコペニア肥満と呼ばれます。

出典:日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診療ガイドライン」

だからこそ高齢者の健康状態を見るときには、体重計の数字だけではなく、

「以前と同じように歩けているか」

「椅子から立ち上がれるか」

「活動量は減っていないか」

「疲れやすくなっていないか」

といった生活の変化を見ることも大切です。

→ 関連記事
「認知症高齢者はなぜ太る?体重増加の原因と注意したいポイント」

フレイルは日常生活の「小さな変化」から気づく

フレイルは、ある日突然始まるものではありません。

「歩けなくなった」

「食べられなくなった」

といった大きな変化が起こる前から、日常生活の中に小さな変化が現れていることがあります。

特に認知症のある高齢者の場合、自分自身で、

「最近、筋力が落ちてきた」

「以前より疲れやすくなった」

「人と関わる機会が減った」

と変化を認識し、周囲へ伝えることが難しい場合もあります。

だからこそ、家族や介護職が「以前のその人と比べて何が変わってきたのか」を見ることが大切です。

たとえば、次のような変化はないでしょうか。

身体・動作の変化

  • 以前より歩く速度が遅くなった
  • 歩幅が小さくなった
  • 椅子から立ち上がるときに手を使うことが増えた
  • ふらついたり、つまずいたりすることが増えた
  • 少し動いただけでも疲れるようになった
  • 横になったり、座って過ごしたりする時間が増えた
  • 外出する回数や歩く距離が減った

食事・体重の変化

  • 食事量が以前より減った
  • 食事内容が偏るようになった
  • 体重が減ってきた
  • 反対に、活動量が減っているのに体重が増えてきた
  • 食事を自分から進んで食べなくなった

気持ち・活動の変化

  • 「面倒くさい」「やりたくない」と言うことが増えた
  • 以前楽しんでいたことをしなくなった
  • 自分から何かを始めることが減った
  • 身の回りのことを人に任せることが増えた
  • 一日の中で何もせず過ごす時間が増えた

人とのつながり・生活の変化

  • 外へ出る機会が減った
  • 家族や友人などと話す機会が減った
  • 地域活動や趣味などに参加しなくなった
  • 家事や仕事など、これまで担っていた役割が減った
  • 人と関わることを避けるようになった

もちろん、この中の一つに当てはまったからといって、すぐに「フレイルである」と判断できるわけではありません。

体調不良や病気、薬の影響、痛み、認知症の症状など、別の原因によって同じような変化が起こることもあります。

また、フレイルを医学的に評価するための基準や方法もあり、ここで挙げたものは診断のためのチェックリストではありません。

大切なのは、

「できる・できない」だけではなく「以前のその人と比べてどう変わったか」を見ることです。

「まだ歩けているから大丈夫」ではなく、以前より歩く速度が遅くなっていないか。

「まだ自分で食べているから大丈夫」ではなく、食べる量や食事への関心が変わっていないか。

「まだ会話ができるから大丈夫」ではなく、人と関わろうとする機会そのものが減っていないか。

そして、こうした変化を一つずつ別々に見るのではなく、

身体・食事・気持ち・人とのつながりなど、生活全体がどのように変化しているのかを見る。

それが、フレイルに早く気づくための大切な視点です。

フレイルは「悪循環」で考えると分かりやすい

フレイルを理解するうえで重要なのが、さまざまな「悪循環」です。

たとえば、

活動量が減る
↓
筋肉が落ちる
↓
身体を動かすのが大変になる
↓
さらに活動量が減る

という循環。

あるいは、

外出しない
↓
人との交流が減る
↓
楽しみや役割が減る
↓
意欲が低下する
↓
さらに外出しなくなる

という循環です。

さらに認知症のある方では、

失敗が増える
↓
周囲が心配する
↓
「危ないからやらなくていい」と代わりにやる
↓
本人が身体や頭を使う機会が減る
↓
本当にできなくなる
↓
さらに介助が増える

という循環も考えられます。

ここには、認知症介護だからこその難しさがあります。

※フレイルでは、活動量の低下、低栄養、筋力低下、社会とのつながりの減少などが相互に影響し、悪循環を形成することが指摘されています。

出典:長寿科学振興財団「高齢者の身体的特徴」

「転ばせないために歩かせない」は本当に安全なのか

介護現場では、安全を考えるほど「やらせない」という判断が増えることがあります。

転ぶかもしれないから歩かせない。

こぼすから食事介助をする。

着替えに時間がかかるから職員が着せる。

危ないから家事をさせない。

一つひとつを見れば、どれも本人のことを考えた支援です。

しかし、それが毎日積み重なるとどうなるでしょうか。

歩かなくなれば、歩く力は失われていきます。

立たなくなれば、立つための筋力を使わなくなります。

自分で食べなくなれば、食事という複雑な生活動作を行う機会が減ります。

「安全を守ること」は大切です。

しかし、

「危険をなくすこと」と「その人の力を使わなくすること」は同じではありません。

認知症ケアでは、このバランスを考える必要があります。

「できないことを手伝う」のが介護である一方で、

「まだできることをできなくさせない」ことも介護です。

フレイル予防という言葉を難しく考えなくても、

その人が今持っている力を、生活の中でどう使い続けてもらうか。

それを考えること自体が、フレイルへの支援につながります。

フレイル予防は「体操をさせること」ではない

フレイル予防というと、

「毎日運動しましょう」

「筋力トレーニングをしましょう」

という話になりがちです。

もちろん運動も重要ですが、それ以上に大切なのは、生活全体です。

食事をしっかり摂ること。

適度に身体を動かすこと。

人と話すこと。

役割を持つこと。

外へ出ること。

楽しみを持つこと。

そして、自分でできることを続けること。

これらを続けていくこと、そして、続けていけるように生活しようと意識することが、フレイルの何よりの予防に繋がっていくでしょう。

出典:厚生労働省「健康長寿に向けて必要な取り組みとは?」

認知症のある方は「生活そのもの」をフレイル予防にする

また、認知症のある方に、

「フレイル予防のために運動しましょう」

と説明して毎日運動してもらうことが、必ずしも現実的とは限りません。

それよりも、

洗濯物をたたむ。

食器を運ぶ。

自分の服を選ぶ。

職員と一緒に廊下を歩く。

庭の花を見に行く。

家族と買い物へ行く。

自分で食事をする。

そうした日常生活そのものを活用することができます。

これは単なる「運動」ではありません。

その人にとって意味のある生活です。

だから認知症のある高齢者のフレイル予防では、

「運動させる」のではなく「自然に身体を使える生活を残す」

という発想も大切なのではないでしょうか。

出典:厚生労働省「介護予防とは?社会参加の重要性って?」

「できなくなったこと」より「まだできること」を見る

介護は、できなくなったことを支援する仕事です。

しかし同時に、

まだできることを、できなくさせないための支援

でもあります。

歩く。

立つ。

食べる。

着替える。

誰かと話す。

何かを選ぶ。

家事をする。

笑う。

人の役に立つ。

そうした一つひとつが、その人の身体や心、社会とのつながりを使う機会になります。

フレイル予防という言葉を難しく考える必要はありません。

「この人が今持っている力を、明日も使えるようにするにはどうしたらいいだろう」

そう考えること自体が、フレイルへの支援につながっていきます。

まとめ|「年だから」「認知症だから」で終わらせない

フレイルとは、単なる筋力低下ではありません。

身体が弱る。

動かなくなる。

人と会わなくなる。

楽しみが減る。

意欲が低下する。

食生活が変わる。

そして、それぞれが影響し合いながら生活全体の力が弱くなっていきます。

また、必ずしも「痩せている高齢者だけ」の問題でもありません。

体重が増えていても、活動量が減り、筋肉が落ちていることがあります。

だから、

「食べているから大丈夫」

「太っているから大丈夫」

「認知症だから動かないのは仕方ない」

「高齢だから歩けなくなるのは当然」

と、一つの情報だけで判断しないことが大切です。

認知症のある方の生活を支えるとき、できなくなったことはどうしても目につきます。

しかし、

「何ができなくなったのか」だけではなく「今ある力をどう使い続けてもらうのか」。

その視点こそが、フレイルを考えることの意味ではないでしょうか。

その人が持っている力を生活の中で使い続けられるようにする。

それは身体機能を守るだけでなく、その人らしい生活を守ることにもつながっていきます。

参考文献・出典

この記事では、以下の資料などを参考に、認知症介護の現場での視点を加えて解説しています。

ここにんでは、認知症介護を”楽にする”ためのヒントとなるような考え方、技術をたくさん発信しています。

詳しくは ➡【はじめての方へ ここにんってどんなブログ?】をご覧ください!

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