認知症ケアについて
『認知症ケアとは何か』という事については【認知症ケアの本質とは? ~技術だけではない”思い”の大切さ~】もお読みください。
以前の記事では
『目の前で困っている人を助けたいという気持ちが必要』
『目の前で困っている人が認知症だった時に使える技術が認知症ケア』
という風に書きました。
つまり認知症ケアとは、単なる技術ではなく『目の前の困っている方を助けたい』という思いから始まります。
では
『困っている人を助ける』
ことと
『困っている認知症の方に認知症ケアを提供する』
ことは、何が違うのでしょうか。
本記事では、認知症ケアにおいて『笑顔』を引き出すことに重要性についてお伝えいたします。
なぜ『認知症ケア』が必要なのか
困っている人を助けるという事は
- 悩みを解消する
- 課題を解決する
- 協力や助力をする
- ともに悩み考える
といった意味合いが強いように感じます。
つまり『今ある困難を取り除くために、今どう動くか』といった所が主な目的になろうかと思います。
一方で、認知症ケアの提供は何が違うかというと
・目の前で困っている認知症の方を笑顔にする(笑顔になってもらう)
という所までが目的になります。
つまり『今その方が抱えている困難を取り除くために動きつつ、どう関われば本人の安楽に繋がるか模索する』『試行錯誤を繰り返し、より良い関わりを磨き上げていく』ことが必要となり、今この瞬間に課題を解決することが目的ではなくなります。
認知症の方との関わりの中で「何度も同じ話をする」「怒りっぽくなる」などの姿に戸惑い、悩むこともあると思います。
しかし認知症の方にも「安心したい」「分かってほしい」という気持ちがあることは間違いありません。
ケアの本質は、その人に”安心”してもらい”笑顔”を引き出す関わりにある——そう私たちは考えています。
そして笑顔を引き出すためには
- 安心を感じてもらえるような関わり
- 相手の感情に寄り添い共感する
- 日常の中での小さな喜びを見つける
といったことがとても重要なのです。
笑顔は最高の薬
認知症は進行性の疾患です。
現在の医学では、残念ながら進行を完全に止める事は出来ず、また進行によってダメージを受けた脳の機能を回復させることもできません。
そして、認知症を進行させる(脳にダメージを与える)大きな要因の1つが、ストレスです。
認知症ケアとは『認知症の方の不安を和らげる』ための技術というだけではなく、『認知症の進行を緩やかにする』ために提供されるケアでもあります。
つまり認知症ケアとは、ストレスを和らげ、安心感を提供するための関わり、ということになります。
では『ストレスが和らぎ、安心を感じている』とは、一体どのような状態でしょうか。
それこそが『笑顔である』『笑っている』という状態です。
最もストレスから遠いであろう『笑う』という状態を目指す事、そして、そのための手法や関わりを確立していくことこそが、認知症ケアの根幹です。
実際、認知症介護の現場では
不安そうな表情を浮かべるAさんに対して、スタッフがそっと手を握り「どうされましたか? 私がそばにいますよ」と伝えると、それだけでAさんは安心したように微笑みました。そしてAさんは、その日を穏やかに、笑顔で過ごすことができました。
というような事例が多くあります。
笑顔になっていただくことの重要性が、お分かりいただけるのではないでしょうか。
認知症ケアという漠然としたもの
認知症ケアとは
・目の前で困っている人を助けたい
という気持ちから動き出し
・目の前の認知症の方を笑顔にしたい
という思いを持って、その方と向き合い、関わる。
ただこれだけの事で十分なのです。
認知症ケアと聞くと『専門性が高そう』『高度な技術が必要なのでは』と感じる方も少なくないと思います。
ですが、たったこれだけを意識するだけで、誰でも認知症ケアは行えます。
認知症を患ってしまった方々は、日々大きなストレスにさらされています。同時に、笑顔になれる瞬間を待ち望んでいます。
ですが、自分の力だけではそれを叶える事が困難なのが、認知症なのです。
横に座り、話を聞き、不安を吐き出して貰う。
たったそれだけでも気持ちが軽くなり、もしかしたら笑顔になってもらえるかも知れません。
認知症ケアの提供とは、そういった程度の関わりでも十分なのです。
まずは、日々の会話の中で相手の表情や反応を注意深く受け取り、笑顔を引き出すような言葉かけを意識してみてはどうでしょうか。
そして、難しく考えず、構えたりせず、そっと寄り添ってもらえればと思います。
ここにんでは、認知症介護を”楽にする”ためのヒントとなるような考え方、技術をたくさんを発信しています。
詳しくは ➡【はじめての方へ ここにんってどんなブログ?】をご覧ください!
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