※この記事は、認知症グループホームで10年以上勤務し、現在は管理者として働く筆者が執筆しています。
ご本人・ご家族・介護職員、それぞれの立場をふまえたケアの視点をお届けします。
【この記事で伝えたいこと】
グループホームに「入れない」と言われるのは、必ずしも支援が受けられないという意味ではありません。
この記事では、制度上の条件や現場での判断の背景を整理しながら「入れない理由」とその本質、そしてその方に合った支援の選択肢について解説します。
【要点】
- グループホームに入れない理由が整理して理解できる
認知症の診断や介護度、地域要件などの制度上の条件に加え、医療的ケアや夜間対応など現場での判断基準を分かりやすく解説します。 - 「入れない=支援が受けられないではない」本質が分かる
入居が難しい背景には“合う・合わない”という視点があることを整理し、その人にとって適した支援の考え方を提示します。 - 入居が難しいと言われたときの具体的な行動が分かる
理由の確認方法や相談先(ケアマネジャー・地域包括支援センター)、次に取るべき選択肢を実践的に解説します。
【この記事で分かること】
・グループホームに入れない主な理由(制度・現場の両面)
・「入れない=ダメではない」という本当の意味
・入居が難しいと言われたときの具体的な対処法と次の選択肢
家族介護・介護職のどちらでも、その人に合った支援を考えるための判断ができる内容です。
※詳しい説明・根拠・事例は、このあと本文でやさしく解説します。
はじめに
「グループホームに入りたいと思ったのに、入居できないと言われた」
介護の相談の中で、このような声を聞くことは少なくありません。
グループホームは、認知症の方が少人数で家庭的に生活することができる施設として、多くのご家族が希望するサービスの一つです。
しかし実際には、
すべての人が入居できるわけではありません。
制度上の条件や生活状況、医療的な事情などによって、入居が難しいケースもあります。
ただし、それは
「支援が受けられない」という意味ではありません。
その方の状態によっては、別の介護サービスの方が適していることもあります。
この記事では、
- グループホームに入れない主な理由
- 現場で実際にあるケース
- 入居前に施設が確認していること
- 入居が難しい場合の選択肢
について、認知症グループホームの現場の視点から分かりやすく解説します。
グループホームに入れない主な理由(制度上の条件)
まずは、制度上の条件についてです。
これは施設の判断ではなく、制度として決まっている条件です。
認知症と診断されていない
グループホームの正式名称は『認知症対応型共同生活介護』です。
名前の通り、対象は認知症と診断された方になります。
そのため、診断がまだついていない場合は、入居することができません。
家族からすると
「明らかに物忘れがあるのに」
と感じることもありますが、制度としては
医師による診断
が必要になります。
要支援2以上の介護認定ではない
グループホームに入居するには、
要支援2以上
の介護認定が必要です。
そのため
- 要支援1
- 介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の対象者
- 自立
の場合は入居できません。
これは、グループホームが
生活支援や介護が必要な方のためのサービス
だからです。
施設のある自治体に住んでいない
グループホームは『地域密着型サービス』に位置づけられています。
そのため原則として、
施設がある市区町村の住民
しか利用することができません。
例えば
A市のグループホーム
→ A市に住民票がある人
という形になります。
これは
地域の高齢者を地域で支える
という地域包括ケアの考え方によるものです。
現場で入居が難しいケース
ここからは、制度とは別に
施設として受け入れが難しいと判断されるケース
について説明します。
これは法律ではなく、
その方が安心して穏やかに生活するための環境として対応が難しい場合です。
医療的ケアが多い場合
グループホームは医療施設ではありません。
また、医師や看護師が常にいるわけではない施設も多く、
あくまで、日常の生活支援を中心としたサービスです。
そのため
- 1日中点滴が必要な状態
- 1日に何度も医療的な処置が必要な状態
- 常に医療管理が必要な状態
の場合は、対応が難しいことがあります。
例えば
- 呼吸を助ける機械を常時使っている
- のどや気管に溜まった痰を、こまめに吸い出す必要がある
- 医療的な管理や処置が生活の中心になっている状態
などです。
このような場合は
- 介護医療院
- 医療対応型施設
- 看護体制の厚い施設
などが検討されることがあります。
グループホームはあくまで「生活の場」であり、医療を中心としたケアを行う場所ではない、ということなのです。
他の入居者との共同生活が難しい場合
グループホームは9人程度の少人数で生活する施設です。
そのため
- 暴力行為がある
- 強い興奮状態が続く
- 他の入居者に危険や悪影響が及ぶ
といった場合は、入居が難しいことがあります。
これは「断る」というより
他の入居者の生活を守るための判断
でもあります。
身体介護が非常に多い場合
グループホームは認知症ケアを中心とした施設です。
そのため
- ほぼ寝たきり
- 全介助が中心
- 重度の身体介護
が必要な場合は
- 特別養護老人ホーム
- 介護医療院
などの方が適していることもあります。
夜間に落ち着かない場合
意外と知られていませんが、
夜間の状況も重要な判断材料になります。
多くのグループホームでは
1ユニット(9人)に対して夜勤職員は1人
という体制が一般的です。
制度上、夜勤職員を増やすことで加算を取る仕組みもありますが、
実際にはこの体制の施設が多いのが現状です。
そのため
- 夜間に頻繁に起きて歩き回る
- 大きな声を出してしまう
- ほとんど眠れない状態が続く
- 夜間に強い不穏がある
といった場合には、入居が難しいと判断されることがあります。
● 夜間対応の限界という現実
これは「問題があるから断る」という意味ではありません。
夜勤職員が一人の場合、
もし一人の方の対応に長時間かかると
- 他の入居者の見守りができない
- 転倒事故のリスクが高くなる
- すべての入居者の安全が守れなくなる
という状況になってしまう可能性があります。
● すべての人の安全を守るための判断
そのため施設としては
入居者全員の生活と安全を守るための判断
をする必要があります。
実は「入れない」のではなく「合わない」こともある
現場でよく感じるのは
「グループホームに入れない」
のではなく
その人に合ったサービスではない
というケースです。
例えば
- 医療管理が中心
- 身体介護が中心
- 一人暮らしがまだ可能
などの場合です。
介護サービスにはそれぞれの役割がある
介護サービスには
- 特別養護老人ホーム
- 有料老人ホーム
- 小規模多機能
- 訪問介護
など多くの種類があります。
それぞれ
役割が違います。
グループホームは
認知症の方が家庭的な生活を送る場所
という役割を持った施設です。
グループホームが入居前に確認すること
施設では、入居を検討する際に
次のようなことを確認することが多いです。
- 夜間の睡眠状況
- 歩行状態
- 転倒リスク
- 排泄状況
- 医療処置の内容
- BPSD(行動・心理症状)の状況
- 家族の関わり
これらは
入居者本人と他の入居者の安全を守るため
に確認されるものです。
「空きがない」だけの場合もある
もう一つ多い理由があります。
それは『空きがない』という、とてもシンプルなケースです。
グループホームは1ユニット9人という、小規模な施設です。
そのため
- 空きが出にくい
- 待機が多い
という状況があります。
この場合は
- 待機登録
- 他施設の検討
などを行うことになります。
入居できないと言われたときに大切なこと
施設に断られた時、気になるのは「なぜ断られたのか」という点だと思います。
しかし実際には、施設ごとに受け入れの基準や体制は少しずつ異なります。
同じ状態であっても「難しい」と判断される施設もあれば「受け入れ可能」とされる施設もあります。
そのため、一つの施設で難しいと言われたからといって、すぐに諦める必要はありません。
複数の施設に相談したり、ケアマネジャーと一緒に検討を進めていくことで、その方に合った場所が見つかることも多くあります。
大切なのは「入れるかどうか」だけで判断するのではなく「その人に合っているか」という視点で考えることです。
入居が難しいと言われたときの対処法
それでも、もし入居が難しいと言われた場合、
まず大切なのは『理由を確認すること』です。
例えば
- 制度上の理由
- 医療的理由
- 生活面の理由
- 空きがない
その理由によって、次の選択肢は変わります。
そのため
- ケアマネジャー
- 地域包括支援センター
などと相談しながら支援を考えていくことが大切です。
まとめ
グループホームに入れない理由は、制度上の条件と生活環境の両方にあります。
その理由には、次のようなものがあります。
制度上の理由
- 認知症の診断がない
- 要支援2以上ではない
- 施設のある自治体に住んでいない
生活環境の理由
- 医療管理が多い
- 共同生活が難しい
- 身体介護が中心
- 夜間に落ち着かない
また、空きがないというケースもあります。
「入れない」=「ダメ」ではない
ただしそれは、支援が受けられないという意味ではありません。
介護サービスには多くの種類があり、その方に合った生活の場所があります。
グループホームはとても良い環境ですが
すべての人にとって最適な場所とは限りません。
大切なのは『その人に合った生活の形を見つけること』なのです。
“どこに入るか”ではなく“どう生きるか”を考えることが、介護ではとても大切なのです。
ここにんでは、認知症介護を”楽にする”ためのヒントとなるような考え方、技術をたくさん発信しています。
詳しくは ➡【はじめての方へ ここにんってどんなブログ?】をご覧ください!
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